ものぐさや
悪役が主役の『戦隊もの』小説
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そ その他の人々(中編)
「ってことなんですよ!」
「へぇ」
熱弁する青木を前に、赤田は気の抜けた相槌を打つ。青木が交番に押しかけてきたのが、かれこれ一時間前。仕事が終わって帰る用意をしているときに来るとは、狙っているとしか思えない。交番で話すのはまずいと思い、近くの喫茶店に入ったのが運のツキ。
「聞いてますか?」
「聞いてるよ。つまり、『最近苛められなくなったと思ったのに、新堂が絡んできて、明日体育館裏に呼び出された。どうしたらいい?』だろ?」
赤田は何回もループしていた話をざっくりとまとめた。青木以外の誰かにも説明しているような台詞だったが、気にしない。
「だから、どうしたらいいのか」
「お前はどうしたいの?」
赤田は青木の言葉を遮った。青木は言葉につまると、少し泣きそうな顔になった。
「それが分からなくて、聞きに来たんです……」
それまでの勢いはどこへやら。赤田は席を立ちたくなったが、ぐっと堪える。ここの喫茶店はよく利用しているから迷惑をかけたくないし、大の男が泣くのはみっともない。
「行きたくないんだろ?」
「ええ」
青木は決して弱くない。体格もよいし、運動神経もそこそこだ。でも、人を傷つけるかもしれないと思うと体が動かなくなるのだった。
「じゃ、行かなきゃいいんじゃないか?」
「はい……でも……もう、苛められるのも嫌なんです」
そこにはしっかりと自分の意志を持つ青木がいた。前に赤田が助けた時、青木はすっかり諦めきって、とても卑屈で情けなかった。以前の青木なら、赤田は突き放してしまっただろう。しかし、何かを決意した青木を見捨てることはできなかった。
「行けば苛められなくなると?」
「いえ……そうは思いません。でも、行かないとずっとこのままです。それは嫌なんです」
淡々と話す青木はだいぶ落ち着いたようだった。その瞳に新堂に対する怒りはなく、自分を変えようという意志があった。
「行けよ」
「え?」
「誰かにそういって欲しいんだろ?」
赤田はにやりと笑って言った。きっと青木は心の底ではもう意志を決めていた。赤田の元に来たのは、誰かに背中を押して欲しかったからだろう。
「行ってくればいい。俺にちょっとやられたくらいで3ヶ月も大人しくなるくらいだから、気は小さいだろうし。自分よりも強いと思ったら、もう手は出してこないだろうよ」
「はい……」
青木はほっとしたように笑った。はにかむ様な笑い方は随分と幼いな、と赤田た思った。出来の悪い弟みたいに思っているのかもしれない。
「ま、頑張れよ」
青木の頭をぽんぽんと叩いて、赤田は喫茶店を後にした。
次回「そ その他の人々(後編)」
前回「そ その他の人々(前編)」
「へぇ」
熱弁する青木を前に、赤田は気の抜けた相槌を打つ。青木が交番に押しかけてきたのが、かれこれ一時間前。仕事が終わって帰る用意をしているときに来るとは、狙っているとしか思えない。交番で話すのはまずいと思い、近くの喫茶店に入ったのが運のツキ。
「聞いてますか?」
「聞いてるよ。つまり、『最近苛められなくなったと思ったのに、新堂が絡んできて、明日体育館裏に呼び出された。どうしたらいい?』だろ?」
赤田は何回もループしていた話をざっくりとまとめた。青木以外の誰かにも説明しているような台詞だったが、気にしない。
「だから、どうしたらいいのか」
「お前はどうしたいの?」
赤田は青木の言葉を遮った。青木は言葉につまると、少し泣きそうな顔になった。
「それが分からなくて、聞きに来たんです……」
それまでの勢いはどこへやら。赤田は席を立ちたくなったが、ぐっと堪える。ここの喫茶店はよく利用しているから迷惑をかけたくないし、大の男が泣くのはみっともない。
「行きたくないんだろ?」
「ええ」
青木は決して弱くない。体格もよいし、運動神経もそこそこだ。でも、人を傷つけるかもしれないと思うと体が動かなくなるのだった。
「じゃ、行かなきゃいいんじゃないか?」
「はい……でも……もう、苛められるのも嫌なんです」
そこにはしっかりと自分の意志を持つ青木がいた。前に赤田が助けた時、青木はすっかり諦めきって、とても卑屈で情けなかった。以前の青木なら、赤田は突き放してしまっただろう。しかし、何かを決意した青木を見捨てることはできなかった。
「行けば苛められなくなると?」
「いえ……そうは思いません。でも、行かないとずっとこのままです。それは嫌なんです」
淡々と話す青木はだいぶ落ち着いたようだった。その瞳に新堂に対する怒りはなく、自分を変えようという意志があった。
「行けよ」
「え?」
「誰かにそういって欲しいんだろ?」
赤田はにやりと笑って言った。きっと青木は心の底ではもう意志を決めていた。赤田の元に来たのは、誰かに背中を押して欲しかったからだろう。
「行ってくればいい。俺にちょっとやられたくらいで3ヶ月も大人しくなるくらいだから、気は小さいだろうし。自分よりも強いと思ったら、もう手は出してこないだろうよ」
「はい……」
青木はほっとしたように笑った。はにかむ様な笑い方は随分と幼いな、と赤田た思った。出来の悪い弟みたいに思っているのかもしれない。
「ま、頑張れよ」
青木の頭をぽんぽんと叩いて、赤田は喫茶店を後にした。
次回「そ その他の人々(後編)」
前回「そ その他の人々(前編)」
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Comments
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感想、ありがとう〜!
地道にお題を進めるつもりなので、
気長に待っていただけると嬉しいです。
青木はしっかりした部分もあるはずなんですけど、この話の中では情けないキャラなので、シリアス加減が難しいですね。
赤田はいい兄さんに!(笑)なんていうか、一度面倒をみたらその後もずっと文句いいながらみるんですよ、彼は。
地道にお題を進めるつもりなので、
気長に待っていただけると嬉しいです。
青木はしっかりした部分もあるはずなんですけど、この話の中では情けないキャラなので、シリアス加減が難しいですね。
赤田はいい兄さんに!(笑)なんていうか、一度面倒をみたらその後もずっと文句いいながらみるんですよ、彼は。
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前回で因縁の相手・新堂に呼び出しを受けてしまった青木さん。冒頭でさっそく赤田さんに相談してますね。なんか赤田さん、すっかり青木さんに頼れる存在と認識されちゃってるような。読者に親切な、説明調の台詞が素敵です。
私はてっきり、青木さんはここで赤田さんに「助けて欲しい」と頼むのかと思っていましたが、違ったんですね〜。「このままじゃいけない」と思い、そこから一歩踏み出すために、赤田さんに背中を押して欲しかったなんて。おお〜、なんか青木さん成長しましたね! そして、自分でもよく把握できていなかったであろう青木さんのその気持ちを見抜いて、適切な助言を与えている赤田さんがかっこいい!
次回はいよいよ新堂との対決ですね。青木さん、がんばれ〜!