ものぐさや
悪役が主役の『戦隊もの』小説
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そ その他の人々(前編)
青木渡は、警察大学校一年生。大きな体とは裏腹に少々気が弱いのが悩みだが、最近はやや改善傾向にある。
「やっぱり、赤田さんのおかげかな」
青木の言う『赤田さん』とは、青木の実習先の交番に勤務していた警官である。一度逮捕術の講師に来たことがあり、偶然に再会したのだった。
「かっこよかったな」
新堂にいつものように殴られていた青木の元に現われ、助けてくれた光景は忘れられない。赤田は新堂を軽くのして、青木に手を差し伸べてくれた。その時の赤田はまるで正義の味方のようだった。
赤田にお灸をすえられてから、新堂の青木苛めは影を潜めた。それは青木にとって平和な生活を意味し、クラスのその他の人々に混じることも出来るようになってきた。気が優しくて力持ち、というキャラクターは周囲にすぐに馴染んだ。苛められることもなく、友達と仲良く授業を受けるのは楽しかった。
しかし、新堂のことは青木の頭から離れなかった。
「やっぱり、諦めてないよな」
新堂は時折恐ろしい目で青木を睨みつけることがある。それは復讐、というか逆恨みなのだが、本人は気付いていないのだろう。青木は新堂自身よりも的確に心情が分かっていたが、どうしようもなかった。何を言っても火に油を注ぐ結果になるだろう。新堂が爆発する日が来ないことを祈りつつ、その不可能な願いに青木はそっとため息をついた。
そして、予測した通り、新堂の怒りが頂点に達する日が来た。赤田さんの効果が三ヶ月も続いたのは予想以上だったな、と青木は思った。切れるきっかけは些細なことだった。正直、青木はその事柄を覚えていない。しかし、顔を真っ赤にして怒る新堂が自分に向かってきたときには手遅れだった。新堂と青木が教室に残されたのがいけなかったのかもしれない。
「ちょっと待てよ」
教室を後にしようとする青木に新堂は声をかけた。青木が振り返った瞬間、胸のあたりに衝撃が来た。以前なら上手く倒れてみせたのだが、最近は新堂にからまれることもなかったので、うっかり踏み止まってしまった。
「っと……」
まずいと気づいて新堂の顔を見ると、額に青筋が浮かんでいた。コントでワザと描いたような青い線に笑いがこみ上げてくる。青木はとても冷静な自分が可笑しくなった。
「最近、調子に乗ってるよな」
仮にも警察官を志す人間がチンピラのように振る舞うのはいかがなものか、と思ったが口には出さない。新堂の唇は怒りで震えている。
「そんなことないよ」
そう言いながらも、笑いが抑えられない。徐々に口角が上がるのが分かったが、意思の力ではどうにもならなかった。新堂はすぐに察して、怒りを新たにする。
「馬鹿にするな!」
「……してないよ」
会話するだけ無駄で、火に油を注ぐだけだという自覚はあるが、青木の口調は突き放したように聞こえた。こみ上げる笑いに対抗するためなので、仕方ない。
「こいつっ」
振り上げられた拳を、青木は瞬きもせずに見ていた。いつもは目を瞑って見せるのに、何故だか今日は出来なかった。体が自然と防御の構えを取ろうとしているのが分かる。
その時、不意に教室に担任の教師が入ってきた。
「ああ、青木、ちょっと手伝って欲しいんだけど」
新堂は振り上げた手を所在なさげに下ろした。舌打ちをすると、鞄を乱暴に掴んで教室から出ていいた。
「明日、体育館の裏に来いよ」
ぼそっと呟いた新堂は本気だった。青木は、明日を思うと大きなため息をつきたくなった。冗談ではないのが本当に困る。担任に頼まれた雑用をこなしながら、どうすればよいのか考えた。行けばいいのか……でも、言ってもぼこぼこにされるのが目に見えている。
雑用も終わり、青木は学校の校門を出た。周りの景色をぼうっと眺めていると、交番が目に入った。
「そうだ! 赤田さんに聞いてみよう!」
次回「そ その他の人々(中編)」
「やっぱり、赤田さんのおかげかな」
青木の言う『赤田さん』とは、青木の実習先の交番に勤務していた警官である。一度逮捕術の講師に来たことがあり、偶然に再会したのだった。
「かっこよかったな」
新堂にいつものように殴られていた青木の元に現われ、助けてくれた光景は忘れられない。赤田は新堂を軽くのして、青木に手を差し伸べてくれた。その時の赤田はまるで正義の味方のようだった。
赤田にお灸をすえられてから、新堂の青木苛めは影を潜めた。それは青木にとって平和な生活を意味し、クラスのその他の人々に混じることも出来るようになってきた。気が優しくて力持ち、というキャラクターは周囲にすぐに馴染んだ。苛められることもなく、友達と仲良く授業を受けるのは楽しかった。
しかし、新堂のことは青木の頭から離れなかった。
「やっぱり、諦めてないよな」
新堂は時折恐ろしい目で青木を睨みつけることがある。それは復讐、というか逆恨みなのだが、本人は気付いていないのだろう。青木は新堂自身よりも的確に心情が分かっていたが、どうしようもなかった。何を言っても火に油を注ぐ結果になるだろう。新堂が爆発する日が来ないことを祈りつつ、その不可能な願いに青木はそっとため息をついた。
そして、予測した通り、新堂の怒りが頂点に達する日が来た。赤田さんの効果が三ヶ月も続いたのは予想以上だったな、と青木は思った。切れるきっかけは些細なことだった。正直、青木はその事柄を覚えていない。しかし、顔を真っ赤にして怒る新堂が自分に向かってきたときには手遅れだった。新堂と青木が教室に残されたのがいけなかったのかもしれない。
「ちょっと待てよ」
教室を後にしようとする青木に新堂は声をかけた。青木が振り返った瞬間、胸のあたりに衝撃が来た。以前なら上手く倒れてみせたのだが、最近は新堂にからまれることもなかったので、うっかり踏み止まってしまった。
「っと……」
まずいと気づいて新堂の顔を見ると、額に青筋が浮かんでいた。コントでワザと描いたような青い線に笑いがこみ上げてくる。青木はとても冷静な自分が可笑しくなった。
「最近、調子に乗ってるよな」
仮にも警察官を志す人間がチンピラのように振る舞うのはいかがなものか、と思ったが口には出さない。新堂の唇は怒りで震えている。
「そんなことないよ」
そう言いながらも、笑いが抑えられない。徐々に口角が上がるのが分かったが、意思の力ではどうにもならなかった。新堂はすぐに察して、怒りを新たにする。
「馬鹿にするな!」
「……してないよ」
会話するだけ無駄で、火に油を注ぐだけだという自覚はあるが、青木の口調は突き放したように聞こえた。こみ上げる笑いに対抗するためなので、仕方ない。
「こいつっ」
振り上げられた拳を、青木は瞬きもせずに見ていた。いつもは目を瞑って見せるのに、何故だか今日は出来なかった。体が自然と防御の構えを取ろうとしているのが分かる。
その時、不意に教室に担任の教師が入ってきた。
「ああ、青木、ちょっと手伝って欲しいんだけど」
新堂は振り上げた手を所在なさげに下ろした。舌打ちをすると、鞄を乱暴に掴んで教室から出ていいた。
「明日、体育館の裏に来いよ」
ぼそっと呟いた新堂は本気だった。青木は、明日を思うと大きなため息をつきたくなった。冗談ではないのが本当に困る。担任に頼まれた雑用をこなしながら、どうすればよいのか考えた。行けばいいのか……でも、言ってもぼこぼこにされるのが目に見えている。
雑用も終わり、青木は学校の校門を出た。周りの景色をぼうっと眺めていると、交番が目に入った。
「そうだ! 赤田さんに聞いてみよう!」
次回「そ その他の人々(中編)」
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Comments
No title
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久遠ちゃん、早速の感想ありがとう!
青木の話は続けてみたかったので、喜んでもらえて嬉しいです。私、新堂も嫌いじゃないです。典型的番長(っていうかいじめっ子)で憎めないとこが好きですね。ちなみに子分の詳細設定まであるよ(笑)
赤田は青木と絡んでこそ味がでるキャラだと思っているので、後編、頑張ります!
青木の話は続けてみたかったので、喜んでもらえて嬉しいです。私、新堂も嫌いじゃないです。典型的番長(っていうかいじめっ子)で憎めないとこが好きですね。ちなみに子分の詳細設定まであるよ(笑)
赤田は青木と絡んでこそ味がでるキャラだと思っているので、後編、頑張ります!
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今回は青木さんが主人公ですね。しかも「ヌシは逃げた」の後日談! 青木さん、やっぱり新堂さんには絡まれ続ける運命にあるようですね〜。「赤田さん効果」はわずか三ヶ月ですか(笑)。いやまあ、三ヶ月ももてば十分でしょうけれども。そういえば、この「赤田さんの効果」という表現も面白かったです。赤田さんは青木さんにしてみれば、特効薬扱いなんでしょうか!?(笑)
というか、別に赤田さんいなくても、青木さんだけでも新堂さんを軽くあしらえるような気がします。体格はいいんだし、あとは気の持ちようというか。やっつけちゃえ〜(←無責任な声援)。新堂さんも、青木さんのことを放っておけばいいのにね。
そういえば、「仮にも警察官を志す人間がチンピラのように振る舞うのはいかがなものか」という部分がありましたが、・・・・・・私はそこで「そういえば新堂って警察官だったんだ!」と今さらな事実に気付きました。いや〜、新堂さんの言動ってどうも警察官って感じじゃないんですよね〜。しかも「体育館の裏」って、なんつーベタな! 何か新堂さんもそんなに憎めないキャラのように思えてきました(笑)。
そして、そんな新堂さんと再び渡り合わなければならなくなった青木さん。・・・・・・って、最後はまたも困った時の赤田さん頼みですかー!? ・・・・・・でも赤田さんの活躍を見られるのは嬉しいな♪(←こらこら) というわけで、赤田さんが大活躍するかもしれない後編、楽しみにしていますねっ。
本当に感想だけで、何の足しにもならないかもしれませんが、以上です〜。それでは、またね。