ものぐさや
悪役が主役の『戦隊もの』小説
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は パラボラアンテナ危機一髪
「よう、久しぶりー」
入ってきた男は、シーホーサーの肩を軽く叩いてから隣に腰掛けた。どうやら、シーホーサーとこの男は前からの知り合いらしい。
「久しぶりー」
カーくんは口角がちょこっと持ち上げて微笑んだ。滅多にお目にかかれない美形だな、と男は思った。シーホーサーにこんな知り合いがいたとは驚きだ。
「このお兄さん誰? えらく男前じゃん」
男は好奇心のままにシーホーサーに問いかける。初対面の人間を前にあまり礼儀正しいとは言えない。しかし、男にはどことなく愛嬌があり、カーくんも気分を害した様子はなかった。
「この人は……まあいいや、お前、何かしたわけ?」
シーホーサーは男を見てにやりと笑った。シーホーサーと男は十年来の友人であり、悪友といったような関係だ。悪戯心をちらりと覗かせ、意地悪く言った。
「へ?」
質問をしたのは自分なのに逆に問いかけられて男はきょとんと目を丸くする。
「この人、お前のこと探してたんだよ」
「はあ?」
訳が分からないといった風の男にシーホーサーはまぁ飲めやと自分のグラスを渡した。とりあえず、男はウィスキーを飲み干した。からん、とまだ溶けていない氷が音を立てた。
「カトルフィッシャーさん、こいつがお探しのゼリーフィッシャーですよ」
「ええ? 何で俺を?
……ま、いいか。とりあえずよろしく」
「カトルフィッシャーです。よろしく」
カーくんはゼリーフィッシャーにシーホーサーに渡したのと同じ名刺を渡した。3Dホログラムを興味深そうにゼリーフィッシャーは眺めている。
ゼリーフィッシャーはかなり痩せ型で、真っ黒な髪の毛に糸のように細い目が印象的な男だった。黒っぽいジーパンに適当に白いシャツを羽織っている。名刺をシャツのポケットにしまうと手を差し出した。白くて滑らかなカーくんの手とは対照的に、差し出された手を握るとごつごつとして骨ばっていた。
「シーホーサーの知り合い?」
ゼリーフィッシャーはシーホーサーの上着のすそを引っ張って、小声で問いかけた。
「お前より三十分は早く知り合ったよ」
「俺と変わんないじゃん」
「千八百秒も違うんだぜ?」
「それって結局は三十分じゃねえか!」
「全く……細かいことを気にしてると禿げるよ?」
馬鹿な会話ほど声は大きくなるものである。二人の掛け合いのような会話を打ち切るように、カーくんは二人に話しかけた。
「私は、貴方たち二人にお話があるんです」
ゼリーフィッシャーとシーホーサーは声を合わせてカーくんに問いかけた。
「「俺たちに何の話が?」」
カーくんはびっくりするほどの落ち着きをもって答えた。
「私は、新しい会社に貴方たちをスカウトに来たんです」
ぽかんと口をあけて、二人はカーくんの顔を見つめた。からかっているわけではなく、どうやら本気らしい。
「私は、宇宙人の会社を作ろうと思っています。そこでは、原形でも過ごせるような……宇宙人だと隠さなくともいい場所を作りたいんですよ」
立て板に水、とばかりにカーくんは畳み掛ける。
「地球人の中で、気の抜けない部分が残っていたりしますよね? だから、宇宙人を最初から受け入れる会社を作ってしまおうと思っているんです。多くの宇宙人がいるのだから、今までなかった方が不思議ですよね」
「まあ、そりゃ」
研究所に勤めているゼリーフィッシャーは徹夜が続くと手が透けそうになることを思い出して、安心して働ける場所は確かに欲しいと思った。
「確かにねえ」
テレビ局で放送作家をしているシーホーサーは『パラボラアンテナ危機一髪〜お笑い芸人による番組制作〜』というやらせ番組に疲れていた。テレビの裏側を知りすぎて、人間不信に陥りそうにもなっていた。しかし、シーホーサーは家庭があるので辞めるわけにはいかなかったという事情がある。
「で、何やんの?」
ゼリーフィッシャーは興味をもったらしく、やや身を乗り出して聞いた。
「事業内容ですか?」
それはもう、爽やかな笑顔でカーくんは言い切った。
「悪の組織ですよ」
次回 『に 二枚目と三枚目』
入ってきた男は、シーホーサーの肩を軽く叩いてから隣に腰掛けた。どうやら、シーホーサーとこの男は前からの知り合いらしい。
「久しぶりー」
カーくんは口角がちょこっと持ち上げて微笑んだ。滅多にお目にかかれない美形だな、と男は思った。シーホーサーにこんな知り合いがいたとは驚きだ。
「このお兄さん誰? えらく男前じゃん」
男は好奇心のままにシーホーサーに問いかける。初対面の人間を前にあまり礼儀正しいとは言えない。しかし、男にはどことなく愛嬌があり、カーくんも気分を害した様子はなかった。
「この人は……まあいいや、お前、何かしたわけ?」
シーホーサーは男を見てにやりと笑った。シーホーサーと男は十年来の友人であり、悪友といったような関係だ。悪戯心をちらりと覗かせ、意地悪く言った。
「へ?」
質問をしたのは自分なのに逆に問いかけられて男はきょとんと目を丸くする。
「この人、お前のこと探してたんだよ」
「はあ?」
訳が分からないといった風の男にシーホーサーはまぁ飲めやと自分のグラスを渡した。とりあえず、男はウィスキーを飲み干した。からん、とまだ溶けていない氷が音を立てた。
「カトルフィッシャーさん、こいつがお探しのゼリーフィッシャーですよ」
「ええ? 何で俺を?
……ま、いいか。とりあえずよろしく」
「カトルフィッシャーです。よろしく」
カーくんはゼリーフィッシャーにシーホーサーに渡したのと同じ名刺を渡した。3Dホログラムを興味深そうにゼリーフィッシャーは眺めている。
ゼリーフィッシャーはかなり痩せ型で、真っ黒な髪の毛に糸のように細い目が印象的な男だった。黒っぽいジーパンに適当に白いシャツを羽織っている。名刺をシャツのポケットにしまうと手を差し出した。白くて滑らかなカーくんの手とは対照的に、差し出された手を握るとごつごつとして骨ばっていた。
「シーホーサーの知り合い?」
ゼリーフィッシャーはシーホーサーの上着のすそを引っ張って、小声で問いかけた。
「お前より三十分は早く知り合ったよ」
「俺と変わんないじゃん」
「千八百秒も違うんだぜ?」
「それって結局は三十分じゃねえか!」
「全く……細かいことを気にしてると禿げるよ?」
馬鹿な会話ほど声は大きくなるものである。二人の掛け合いのような会話を打ち切るように、カーくんは二人に話しかけた。
「私は、貴方たち二人にお話があるんです」
ゼリーフィッシャーとシーホーサーは声を合わせてカーくんに問いかけた。
「「俺たちに何の話が?」」
カーくんはびっくりするほどの落ち着きをもって答えた。
「私は、新しい会社に貴方たちをスカウトに来たんです」
ぽかんと口をあけて、二人はカーくんの顔を見つめた。からかっているわけではなく、どうやら本気らしい。
「私は、宇宙人の会社を作ろうと思っています。そこでは、原形でも過ごせるような……宇宙人だと隠さなくともいい場所を作りたいんですよ」
立て板に水、とばかりにカーくんは畳み掛ける。
「地球人の中で、気の抜けない部分が残っていたりしますよね? だから、宇宙人を最初から受け入れる会社を作ってしまおうと思っているんです。多くの宇宙人がいるのだから、今までなかった方が不思議ですよね」
「まあ、そりゃ」
研究所に勤めているゼリーフィッシャーは徹夜が続くと手が透けそうになることを思い出して、安心して働ける場所は確かに欲しいと思った。
「確かにねえ」
テレビ局で放送作家をしているシーホーサーは『パラボラアンテナ危機一髪〜お笑い芸人による番組制作〜』というやらせ番組に疲れていた。テレビの裏側を知りすぎて、人間不信に陥りそうにもなっていた。しかし、シーホーサーは家庭があるので辞めるわけにはいかなかったという事情がある。
「で、何やんの?」
ゼリーフィッシャーは興味をもったらしく、やや身を乗り出して聞いた。
「事業内容ですか?」
それはもう、爽やかな笑顔でカーくんは言い切った。
「悪の組織ですよ」
次回 『に 二枚目と三枚目』
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