ものぐさや
悪役が主役の『戦隊もの』小説
| HOME |
ブラック・サンダー物語(11)
「お疲れ様でした」
血のりを拭きつつ、小海老君は赤田と黄川、青木に声をかけた。頭の悪そうな怪人の片鱗はない。
「お疲れ様でした」
「朝早くから、お互い大変でしたね〜」
レッドとイエローはすっかり小海老君と仲良くなったらしく、メアドや番号を交換している。たぶん、再び戦うことはないので、友人関係になっても支障はないのだ。
「先輩たちはなんで、悪の組織と仲良くするんですかっ?」
「話が合いそうだから」
と、赤田はそっけなく答えた。
「子持ちの親としてはいろいろ聞きたいことがあってね」
と、黄川も青木には目もくれず答える。
「俺だけ仲間はずれにしてーっ!」
騒ぐ青木に構うことなく、ブラック・サンダーの面々とトラレンの三人は公園を後にした。
「それでは、また」
小海老君はプランクトニアンたちを引き連れて、秘密基地へと戻っていった。
「ブラック・サンダーっていい人多そうですね」
赤田が小海老君の後姿を見送って、思わず呟いた。
「来週も、頑張らないとね」
正義の味方がいなきゃ、彼らは活動できないしさ、と黄川は思った。子供にも自慢できるし、戦隊もののヒーローも悪くない。
「俺の休日を返せー!」
青木の魂の叫びを二人は全く意に介さない。あまりうるさくて近所迷惑なようならば、一発殴って黙らせればいいかと赤田は考えている。
そうして、交通戦隊トラフィックレンジャーとなった三人はそれぞれの帰路についた。
※ ※ ※
小海老君はブラック・サンダー本部直通のエレベーターの中で、ほっと一息ついた。
「やっと終わった……」
無事、自分の出番を終えることが出来て良かったと思う。全国ネットで自分の姿が放映されるのを考えると嬉しい。が、
「第一回、ちょっと悪事がいまいちだったかな」
事前にブルーが下らない悪事の半分には引っかかってしまったために、番組中の悪事がやや物足りないものになってしまった気がする。
総帥室のドアを軽くノックする。
「入ってください」
中からカーくんが答える。レポートの入ったファイルを持ち直して、ドアを開ける。
「失礼します」
部屋の中には革張りの椅子に腰掛け、ペルシャ猫と猫じゃらしで遊ぶ総帥とその様子を優しく見つめるカーくんがいた。上司ということも忘れ、小海老君は二人の微笑ましい様子を眺めてしまった。
「あ、おかえりー!」
椅子から勢いよく立ち上がり、総帥は小海老君に駆け寄った。フエルトの生地に顔をうずめるようにして抱きつき、小海老君の無事を喜んでいる。
「あ、ありがとうございます」
戸惑いながらも、小海老君はお礼を言う。カーくんの視線が心もち怖い。
「総帥、そのくらいにしてください」
「やだー」
フエルトの感触が気に入ったらしく、総帥は小海老君を放そうとしない。
「シュリンパー、報告書は?」
氷点下に突き落とすような声でカーくんは声をかける。抱きしめられたままの小海老君はファイルを差し出す。
「ご苦労様でした。明日からはまた、化粧品の部門で頑張ってくださいね」
とっとと出て行けと言外に言われているのを自覚しつつも、小海老君は動けないでいる。
「また、頑張ってね」
こんな可愛らしい総帥の為に、仕事に励むのも悪くないと小海老君は思った。
二人を複雑な顔で見つめたカーくんは、
「また、エックスとして指令出さなくちゃいけませんね」
と、総帥につくづく甘いと自覚しながらも呟いた。
今日も、総帥の為にブラック・サンダーは悪事にいそしむ。頑張れ、我らがブラック・サンダー!
<了>
(10)に戻る
血のりを拭きつつ、小海老君は赤田と黄川、青木に声をかけた。頭の悪そうな怪人の片鱗はない。
「お疲れ様でした」
「朝早くから、お互い大変でしたね〜」
レッドとイエローはすっかり小海老君と仲良くなったらしく、メアドや番号を交換している。たぶん、再び戦うことはないので、友人関係になっても支障はないのだ。
「先輩たちはなんで、悪の組織と仲良くするんですかっ?」
「話が合いそうだから」
と、赤田はそっけなく答えた。
「子持ちの親としてはいろいろ聞きたいことがあってね」
と、黄川も青木には目もくれず答える。
「俺だけ仲間はずれにしてーっ!」
騒ぐ青木に構うことなく、ブラック・サンダーの面々とトラレンの三人は公園を後にした。
「それでは、また」
小海老君はプランクトニアンたちを引き連れて、秘密基地へと戻っていった。
「ブラック・サンダーっていい人多そうですね」
赤田が小海老君の後姿を見送って、思わず呟いた。
「来週も、頑張らないとね」
正義の味方がいなきゃ、彼らは活動できないしさ、と黄川は思った。子供にも自慢できるし、戦隊もののヒーローも悪くない。
「俺の休日を返せー!」
青木の魂の叫びを二人は全く意に介さない。あまりうるさくて近所迷惑なようならば、一発殴って黙らせればいいかと赤田は考えている。
そうして、交通戦隊トラフィックレンジャーとなった三人はそれぞれの帰路についた。
※ ※ ※
小海老君はブラック・サンダー本部直通のエレベーターの中で、ほっと一息ついた。
「やっと終わった……」
無事、自分の出番を終えることが出来て良かったと思う。全国ネットで自分の姿が放映されるのを考えると嬉しい。が、
「第一回、ちょっと悪事がいまいちだったかな」
事前にブルーが下らない悪事の半分には引っかかってしまったために、番組中の悪事がやや物足りないものになってしまった気がする。
総帥室のドアを軽くノックする。
「入ってください」
中からカーくんが答える。レポートの入ったファイルを持ち直して、ドアを開ける。
「失礼します」
部屋の中には革張りの椅子に腰掛け、ペルシャ猫と猫じゃらしで遊ぶ総帥とその様子を優しく見つめるカーくんがいた。上司ということも忘れ、小海老君は二人の微笑ましい様子を眺めてしまった。
「あ、おかえりー!」
椅子から勢いよく立ち上がり、総帥は小海老君に駆け寄った。フエルトの生地に顔をうずめるようにして抱きつき、小海老君の無事を喜んでいる。
「あ、ありがとうございます」
戸惑いながらも、小海老君はお礼を言う。カーくんの視線が心もち怖い。
「総帥、そのくらいにしてください」
「やだー」
フエルトの感触が気に入ったらしく、総帥は小海老君を放そうとしない。
「シュリンパー、報告書は?」
氷点下に突き落とすような声でカーくんは声をかける。抱きしめられたままの小海老君はファイルを差し出す。
「ご苦労様でした。明日からはまた、化粧品の部門で頑張ってくださいね」
とっとと出て行けと言外に言われているのを自覚しつつも、小海老君は動けないでいる。
「また、頑張ってね」
こんな可愛らしい総帥の為に、仕事に励むのも悪くないと小海老君は思った。
二人を複雑な顔で見つめたカーくんは、
「また、エックスとして指令出さなくちゃいけませんね」
と、総帥につくづく甘いと自覚しながらも呟いた。
今日も、総帥の為にブラック・サンダーは悪事にいそしむ。頑張れ、我らがブラック・サンダー!
<了>
(10)に戻る
<<い 異人館で会いましょう | ホーム | ブラック・サンダー物語(10)>>
Comments
Comment Form
Trackback
| HOME |


